院長コラム リンガルとともに33年
1980年代編|舌側矯正(裏側矯正)のはじまり
すべてがゼロからだったシステムの構築
 リンガルが本格的に始まった80年代前半はアメリカでは皆が飛びついて一時的にぱっと伸びました。しかし、実際に治療してみると、アメリカの矯正医にとってテクニックが難しくて治らないということになり、90年代に入ってリンガルのマーケットがガクンと落ちた時期がありました。その頃、クリアなブラケットが出てきた影響もあったと思います。
 東洋人に比べれば、欧米人の不正咬合は凸凹が少なく、難しい症例は少ないのですが、それでも、欧米のドクターからはリンガルは難しいし治らないというレッテルを貼られてしまったのです。
 確かに装置やシステムが未完成だったため、着ける位置も難しく、全体の治療システムも十分でなかったということはあります。
 アメリカという大きなマーケットでリンガルが振り向かれなくなった頃、私は1人で東洋人の凸凹の激しい歯列を裏側から治すシステムに取り組んでいました。すべてゼロから始めなければならず、それは苦労の連続でした。試行錯誤を繰り返し昨日よりも今日、今日より明日というふうに改良を重ねてきた結果が今につながっていると思っています。
 日本人は手先が器用で精密な作業を得意としますし、改良や改善することにかけては世界でも右にでるものがいないのではないでしょうか。矯正という分野は装置やシステムの開発を含めて、日本人にはとても向いている分野だと思います。私もアメリカ人には絶対負けないといった意気込みがありました。
 現在は各メーカーがこぞってリンガルを開発して売り出す乱立時代になり、リンガルを取り巻く状況は様変わりしています。
 ただ、ラビアルに比べれば、まだまだリンガルで治療ができるドクターの絶対数は少ないなか、参入するドクターも増えていて、少し前のインプラントのような状況になっていますが、インプラント同様、講習会を受けてすぐにできるというものではありません。一朝一夕に身に付く技術ではなく、付け焼き刃の知識やテクニックでは患者さんにご満足いただける治療はできません。
 今から裏側からの治療を始める先生たちは開発者の苦心や工夫、知恵が詰まっているということを思い起こしながら、研鑽を重ねていただければと思います。

 
 
 
 
 
 
 
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