院長コラム リンガルとともに33年
1990年代編|舌側矯正(裏側矯正)の発展期
当時の日本の矯正事情
 当時の患者さんの2、3割を占めていたのはキャビンアテンダント(CA)の人たちで、装置が目立ってはいけないというので目立たない舌側矯正(裏側矯正)を希望していました。ところが当時、舌側矯正(裏側矯正)禁止という社内規定のある航空会社があり、その理由は正しい発音ができないので業務に支障を来すからということでした。表側の矯正はもちろんダメなので、矯正は入社する前にすませておくか、さもなければ会社をやめない限りできないということになってしまいます。
 そんな事情を聞いてだまっているわけにはいかなくなり、会社宛か社長宛か、とにかく手紙を書きました。大手グループ会社の一員である日本の航空会社が乗務員の健康上の気遣いを禁止するというのはおかしいのではないか、それがお客のマイナスになるとも思えないと。
 私の手紙を最初にみつけたのは秘書でした。差出人がE-LINEクリニックとあるので驚いたそうですが、その秘書の人はたまたま当院の患者さんだったのです。すぐに社長に掛け合ってくれて、私も直接社長とお話をする機会があって、その航空会社では舌側矯正(裏側矯正)がOKになったという経緯があります。
 海外の航空会社の多くは矯正装置を着けたCAが機内サービスするのは普通のことであり、むしろ、乗務員の歯並びが悪いまま、海外に飛んでいく方が恥ずかしいと思うのですが、20数年前はそんな時代だったのです。
 その後はCAさん同士の口コミで患者さんが増えていくと同時に、舌側矯正(裏側矯正)が女性誌やファッション誌で取り上げられるようになり、一般の人にも広く浸透していくきっかけとなりました。
 今では男性の患者さんも増え、学生を中心にした若い世代からお孫さんがいる方まで年齢層も幅広くなっています。新松戸の診療室でも舌側矯正(裏側矯正)がここ5年くらいで急激に伸びて6、7割を占めるまでになり、表側矯正と逆転現象を起こしています。
 お母さんが、「この子が目立たない装置でやりたいというので」と中学生や高校生の娘さんを連れてくることも珍しくなくなりました。当院がリンガル専門であることが定着した証拠だと思います。

 
 
 
 
 
 
 
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