院長コラム リンガルとともに33年
1990年代編|舌側矯正(裏側矯正)の発展期
ストレートワイヤーを組み込んだ裏側装置の開発を目指す
 当時の舌側矯正(裏側矯正)のワイヤーはマッシュルームアーチといって、直線的ではなく、途中に屈曲が入ったワイヤーを用いていました。その形状がマッシュルームに似ていたのでマッシュルームアーチ、あるいはクリスマスアーチと呼ばれています。
 矯正治療では歯列の表側をきれいに並べるので、裏側はそれぞれの歯の厚みの分だけ内側に出ることになります。そのため、歯列の内側(舌側)にワイヤーを通す舌側矯正(裏側矯正)では、それぞれの歯の厚みを考慮してワイヤーを内側に折り込なまければならなかったのです。このことをワイヤーインセットといいますが、とくに歯の形が変わる犬歯、小臼歯、大臼歯では内側への屈曲が必要になります。マッシュルームアーチでは患者さんの歯並びに合わせて屈曲を入れなければならず、さらに調整のたびに屈曲を入れ直すことからチェアタイム(治療時間)も長くなってしまいますし、複雑な屈曲があるワイヤーのため、舌に当たって痛いなど患者さんに負担をかけることになります。
 また先生ごとに屈曲の仕方が異なるため、スムーズな治療とは言えませんでした。よりシンプルでスムーズな治療を行うために、すでに表側の治療では使われていたストレートワイヤー法を用いた治療が裏側でもできないものかと模索を続けていました。

 
 
マッシュルームアーチ       ストレートワイヤー法
 
 
 
 
 
 
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