歯科矯正の目的
矯正治療は、たんに「歯並びをきれいにする」というイメージしかありませんが、正しくは3つのものを治しています。さらには美容面だけでなく、虫歯や歯周病から歯を守ることにもなるため、歯を健康的に保ち、ひいてはかむことによる身体の健康管理にもつながります。
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歯並びとかみ合わせを治します
上の歯と下の歯がかみ合っていなかったり、奥歯はかみ合うのだけれど前歯が開いたまま(開咬)だったり、受け口(反対咬合)だったりと、不正咬合と呼ばれる症状はさまざまです。矯正治療の基本は、こうした歯並びを整え、きちんとかむことができるよう、上下の歯のかみ合わせを治していきます。
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あごを治します
小さいお子さまに限りますが、歯を動かして並び方を治すだけでなく、歯の土台となるあごを治すことも矯正治療の一環です。成長期に装置を入れることで、骨の成長を利用しながらあごそのものを治していくこともあります。大人の方でも外科手術を併用して矯正治療することで骨格を治すことが可能です。
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より自然な表情に近づきます
上下の歯が正しくかみ合うことで、口もとが出ている方などは上唇の突出感がなくなり、横顔がきれいに整います。また、治療前はあごの筋肉の緊張があって全体的に硬い表情であった場合も、治療後は口元の緊張がとれ、より自然な表情になり、やわらかな雰囲気になることが多いようです。
治療の進め方
初診相談では歯科医師が基本的な治療方法についてご説明しますので、なんなりとご質問ください。検査結果にもとづき、歯科医師全員で話し合いを重ね、一人ひとりにベストな治療方針をご提案します。当院にはリンガルブラケット矯正装置(ALIAS)専門の技工所が併設されており、歯科医師と歯科技工士の間で何度も綿密な打ち合わせがおこなわれるため、矯正装置も高い精度を目指しています。コンピュータ上でのシミュレーションはもちろんのこと、最終的なゴールとなる歯列模型(セットアップ模型)も作製するので、治療によってどのように口もとが変わるのかを事前に確かめることができます。適切な矯正治療には相応の時間がかかります。理想の笑顔をかなえるためのパートナーとして、ご要望にあわせた最適な治療計画をご提案し、患者さまと二人三脚で歩んでいきたいと願っています。
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1
初診相談
[約30~60分]
歯並びに関して気になっていること、お悩みなどをおうかがいすると同時に、治療に対するご要望などもうけたまわります。当院では矯正治療専門の歯科医師がカウンセリングしますので、実際の治療における具体的な内容についてもくわしくご説明できます。また、受付もトリートメントコーディネーターとして使用する装置や治療費について細かくご説明しますので、わからない点、心配されている点などありましたらお気軽にご相談ください。
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2
検査
[約1時間]
治療に際して口腔内の検査をおこないます。検査内容は、口腔内写真撮影、レントゲン撮影(デジタルレントゲン装置を使用)、CT撮影、オーラルスキャナー、かみ合わせの検査などです。尚、歯型は採らずにオーラルスキャナーにて模型をおつくりするので、歯型採得が苦手な方でも問題ありません。また、デジタルレントゲンおよびCTは歯科用の低線量装置となっています。
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3
治療計画のご説明
[30分~1時間]
検査結果をもとに、最善かつ最短での治療計画を立てていきます。採得した歯型から模型を作製し、それをお見せしながら具体的な治療方法や期間についてご説明します。費用や支払方法についてもこの時点でお話ししますので、わからない点はなんでもご質問ください。納得して治療を受けていただけるよう、十分に話し合いを重ねたうえで治療計画を決定します。
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4
歯磨き指導&口腔内清掃
[1時間~]
治療に入る前の重要なステップに歯磨き指導と口腔内清掃があります。 治療期間中に虫歯や歯周病にならないよう、正しい歯磨きの方法を歯科衛生士がご説明するので、しっかりと覚えてください。その後、口腔内を清掃して装置を着ける準備をします。
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5
矯正装置の装着
[約2時間]
矯正装置を装着します。口の中で使う装置は、歯を正しい位置へ移動させるために適切な力がかかるよう設計されています。一本一本ていねいに接着させていきますが、すべての歯に装着するまでに90分程度を要します。さらに装置装着時は、ブラッシング方法も含めしっかりとご説明いたしますので、トータルで2時間ほどを要します。従来の装置よりも歯周組織への負担が軽くなったリンガルブラケット矯正装置(ALIAS)ですが、その特長や注意点をご理解いただくことで、より快適な矯正治療をかなえることができます。
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6
歯の移動期間
[1年~2年半]
装置装着後は、4~8週間ごとに来院していただいて装置の調整を行います。治療内容にもよりますが、1回にかかる時間は30分~1時間程度です。治療期間は、顔の骨格や歯並びの難易度によって大きく変わりますが、目安としては、でこぼこな歯並びの患者さまの場合、1年~2年半くらいかかります。リンガルブラケット矯正装置(ALIAS)では、毎回の調整にかかる時間も治療期間も以前に比べて短縮され、痛みなどの身体的な負担も格段に軽減されています。お一人おひとりの治療方針や期間については、診断時にくわしくご説明します。
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7
保定と定期検診
[1年半~2年半]
歯の移動が完了すると、すべての装置をはずして治療終了となります。これ以降は保定といって、移動した歯のあと戻りを防ぐためにリテーナーという着脱できる保定装置を装着していただき、歯列を安定させます。歯列の安定には約2年前後かかります。装置をはずしたあとは、3ヶ月~半年に1回ほど受診していただき、歯列やかみ合わせのチェック、口腔内清掃など定期検診を受けていただきます。