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舌側矯正(裏側矯正)でパッシブルセルフライゲーション・ブラケットを初採用

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更にSTb-SL、ALIASではリガチャーワイヤーを必要としないセルフライゲーションブラケットの開発を行い採用しました。
リガチャーは、ドクターの手作業となる為、時間がかかり患者さんにとってもチェアタイム(治療時間)が長くなるので、負担を強いられることになります。
結び方が悪いとワイヤーが外れてしまうこともあり、ドクターのスキルによって治療のばらつきが出てしまうという難点もあります。ですから、こうした治療のばらつきを出来るだけ少なくするという目的がありました。
そこで採用したのが、セルフライゲーションブラケットで、これはブラケットに蓋がついており、ワイヤーを通した後にこの蓋を閉じることで、アーチワイヤーが外れるのを防ぐ仕組みになっています。セルフライゲーションのブラケットには、アクティブセルフライゲーションとパッシブセルフライゲーションがあります。
アクティブセルフライゲーションは、ブラケットの蓋の開閉部分がスプリング式になっています。この方式では、歯を動かすための強い力が加わるとワイヤーが引っ張り出されてしまうリスクがありました。
一方、STb-SL、ALIASで採用しているパッシブセルフライゲーションでは、ブラケットの蓋の開閉部分がシャッター式になっており、1度シャッターを閉じれば、常に一定のスロットのサイズになります。これは、リガチャーやアクティブセルフライゲーションではなしえないことです。
キャップが閉じればワイヤーが奥までしっかり入ったことを意味し、それはドクターでも、衛生士でも誰がおこなっても同じ結果が得られるので、特別な経験やテクニックは必要なくなります。又、リガチャーに比べて時間もかからない為、チェアタイムが短くなり患者さんの負担も減ります。
従来のブラケットでは、リガチャーの仕方や微妙な力加減によって、きつく固定されたり、ゆるかったりと、あそびの部分(ワイヤーとスロット間の隙間)に違いがでてしまっていました。つまり、リガチャーであるということは、スロットの形状が決して一定ではないという事を意味します。
アクティブセルフライゲーションのスプリングキャップも同様で、キャップが閉まったからといって、ワイヤーが奥までしっかり入っているかどうかは確認できません。
その点、パッシブセルフライゲーションでは、シャッターを閉じることでスロットの形は一定となり、チューブのような構造となるため360度のコントロールが可能となります。
セルフライゲーションブラケットのメリットはまだあります。リガチャーワイヤーを使用しないため、結紮するときに生じる摩擦抵抗がほぼゼロとなり、弱い力で歯を動かすことが出来るのです。このことを”ローフォース・ローフリクション(Low-force,Low-friction)”といいますが、従来の治療ではブレーキをかけながら、アクセルを踏んでいるような状態でしたが、セルフライゲーションシステムでは、ブレーキとなる摩擦抵抗がほとんどなくなる為、弱い力でも歯を動かす事が出来るのです。その結果、患者さんの負担も軽減し、治療期間の短縮化にもつながります。
こうした利点を持つパッシブセルフライゲーションブラケットを裏側の装置に採用した例はそれまでなく、私が5年の歳月をかけて開発し、STb-SL、ALIASにおいて結実させることに成功しました。

著者 Writer

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竹元 京人
世界舌側矯正歯科学会(WSLO)の発足メンバーであり初代大会長を務める。
アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各国で舌側矯正について講演、講習会を行うなど、舌側(裏側)矯正を最前線で牽引する第一人者。

【役職】
World Board of Lingual Orthodontists(WBLO前会長)
イタリアフェラーラ大学 客員教授
英国王立エジンバラ大学医学部 M-Ortho examiner, Fellow

【所属学会】
世界舌側矯正歯科学会(認定医、専門医、元会長、創設理事)
ヨーロッパ矯正歯科学会(EBO専門医)
日本矯正歯科学会(臨床指導医)
日本成人矯正歯科学会(臨床指導医、総合指導医)
日本舌側矯正歯科学会(認定医)

【経歴】
1979年 東京歯科大学卒業
1979年 東京医科歯科大学歯学部矯正科入局
1983年 竹元矯正歯科開業
1988年 イーライン矯正歯科開業

イーライン矯正歯科

住所

〒102-0074
東京都千代田区九段南2-5-7

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